2022/10/31
News
「NOVAFLEUR」はフランス花界にとって最も重要なエキスポのひとつで、フランスの主要な花業界・アートフローラル・教育機関、植物・装飾のプロたちが毎年トゥール市のパレ・デ・コングレに一堂に会して開催される。会場ではフランス国家最優秀職人章MOFを持つフラワーアーティストが数多く集まり花の最新トレンドが各所で発表され、またフレンチカップ、オアシスカップなどのコンテストも開催。将来の花界を牽引する新しい才能の発掘に花界を上げ取り組んでいます。
主賓作家として招聘されたグランプリ作家3名は、会場であるジュールベルヌがデザインした著名な建造物パレ・デ・コングレの正面玄関ホールというまさに特別な場所にメインディスプレイとしてそれぞれのフラワーアートを展示しました。
第一園芸株式会社の新井光史さん、村上巧悦さんは、4メートルに迫る大作フラワーアート『TOURYUMON~登竜門~』を発表。急流を登った鯉が竜になるという言い伝えからできた中国の故事成語「登竜門」をテーマに、同じく中国から伝来し日本の伝統的な技術で透けるほど薄く美しく加工された「経木(きょうぎ)」を使って、流れる滝を表現。滝にあがる水しぶきは胡蝶蘭やカスミソウで表現し勢いや立体感を感じる雄大なフラワーアートは、まさに「NOVAFLEUR2022」のメインディスプレイと呼ぶにふさわしい作品となりました。
一方、9月初めに開かれたパリでの単独個展「MOMENTS D’ECLOSION」を見事成功させての参加となったASAKOさんは作品「自然との共生」を発表。グリーンのグラデーションを基調に植物本来の美しさと癒しの作用を足し引き極限のバランスの中で表現。印象的なサークルのオブジェ使い、人間と自然にも境目はなく、自己と他者にも、善人にも悪人にも境目はないという円の思想、多様な文化を受け容れて発展させてきた日本の豊かさを表現する作品を出展。
日本文化をベースとする壮麗な二つのフラワーアートに会場を埋め尽くす来場者から惜しみない拍手が送れていました。
さらに会場では、第一園芸株式会社の新井光史さん、村上巧悦さんによるフラワーデモンストレーションも開催。
新井さんがデモンストレーションのテーマに選んだのは葛飾北斎の浮世絵のオマージュ。
花と日本伝統の装飾品、水引とのコラボレーションを楽しむデザインを取り入れたデモンストレーションを行いました。
日本を代表するアーティストとして新井さんが尊敬してやまない葛飾北斎の代表作を、色鮮やかな花とリサイクルできる紙の装飾品である水引でデコレーションしたエコロジカルで時代を超えた作品に、会場のみなさんも拍手で応えていました。
続いて、村上さんがデモンストレーションのテーマに選んだのはフランスの画家、モネの絵画のオマージュ。
花と日本の伝統工芸である和紙で、モネの描く絵画の中の日本を表現したデモンストレーションを行いました。フランスを代表するアーティストとして村上さんが選んだモネの作品を、色鮮やかな花と和紙を正方形にカットしたオーナメントを使って表現。こちらもリサイクルできるエコな素材を選びました。ヨーロッパの洋紙とは違い、一枚一枚の質感が異なる、柔らかく暖かな質感の和紙は会場のお客様の関心を集めていました。
フランス最大級の歴史あるフラワーエキスポに、さらに新しい価値を与える新しい試みとして展開された、今回の「NOVAFLEUR」と「FLOWER ART AWARD in TOKYO MIDTOWN 2022」のコラボレーションプロジェクト。FLOWER ART AWARD in TOKYO MIDTOWN 2022グランプリ受賞作家、第一園芸株式会社の新井光史さん・村上巧悦さん、ASAKOさんの働きに対する、フランス現地の来場者の予想を超える大きな反響に今後の可能性への確かな手ごたえを残す結果となりました。多様な文化、人と人との出会のパワーがどのような豊かな明日を創造してゆくなかプロジェクトの今後の発展が楽しみです。
–新井 光史・村上 功悦–